経理には業務改善が必要？手順やアイデア・事例を紹介！
支払い管理や帳簿付け、決算処理などを担う経理部では、会社の意思決定をスムーズにするためにも、業務改善が欠かせません。
しかし、経理の業務改善をどのように進めるべきか、具体的なイメージを持てない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、経理で業務改善を進める手順やアイデア、事例を中心に解説します。
- 経理の業務改善をしたいが、具体的に何をすればよいか分からない
- 経理の業務改善を進める手順や、業務改善のアイデアを知りたい
- 他社が業務改善した事例を参考に、自社の業務改善を成功させたい
という方はこの記事を参考にすると、経理の業務改善における正しい方法やアイデアが分かり、自社の経理業務を効率化できるようになります。
目次
経理業務とは
経理業務とは、企業のお金や取引の流れを詳細に記録し、管理することを言います。自社の財務状況を数字で正確に表し、経営判断のサポートや関係者への報告などの役割を担っています。
なぜ経理の業務改善が必要なのか
経理の業務改善が必要なのは、業務内容が多岐に渡るうえに、スピーディで正確な処理が求められるためです。
主に、経理では以下のような業務をします。毎日の対応が必要な作業と、年に数回のみの対応をする作業に分かれていることが一般的です。
| 日次 | 月次 | 年次 |
|---|---|---|
|
・現金の出納管理
・小口現金の管理
・伝票管理
・立替経費精算
・売上集計 |
・給与計算/支払い
・社会保険料の納付
・試算表の作成
・在庫管理
・未回収金の回収 |
・残高と帳簿の照合作業
・決算処理
・在庫計算
・税金納付
・年末調整 |
上記から分かるように、経理業務では直接の顧客対応をする機会はないものの、会社の経営判断につながる業務がほとんどです。したがって、業務は常に正確・迅速でなければならず、万が一非効率な場合は、早急に改善すべきなのです。
経理業務を改善するメリット
経理業務を改善することで、従業員の負担軽減やコスト削減など、さまざまなメリットが期待できます。
例えば、経理では書類業務が多く、数字を入力したり計算したりする作業は、従業員にとって大きな負担になっています。そこで、書類を電子化すれば、手作業による入力や計算ミスを減らせるため、データ分析などのコア業務に集中して時間を割けるようになります。
さらに、電子化することで、これまでかけていた印刷代や紙のコストの削減にもつながります。他にも、残業時間の減少、データの一元管理によるコンプライアンス強化など、経理業務を改善するメリットは多岐に渡るので、経理業務を改善するのは十分な価値があるのです。
簡単3ステップ！経理で業務改善を進める手順
以下では、経理で業務改善を進める手順を3ステップで解説します。以下の手順で業務改善をしなければ、効果が得られない恐れもあるので注意しましょう。
ステップ1｜業務の洗い出しをする
はじめに、経理業務をすべて洗い出しましょう。
業務を洗い出しておけば、属人化していたり時間がかかっていたりする作業がすぐに分かります。その結果、「どのように改善していくか」も検討しやすくなるのです。
このように、作業を漏れなく抽出して事前に課題を見つけることで、経理業務をスムーズに改善できます。
ステップ2｜ECRSの原則で業務を見直す
次に、業務を洗い出したら「ECRS（イクルス）の原則」で見直しをします。具体的には、以下の4点に着目しましょう。
- 排除（Eliminate）：作業をなくせないか
- 結合（Combine）：作業をまとめられないか
- 再配置（Rearrange）： 作業の順序を変えられないか
- 単純化（Simplify）：作業をシンプルにできないか
上記の点に着目して見直しをすれば、改善策を実行するときに、無駄なプロセスを踏む心配がありません。
ステップ3｜改善策を実行する
最後に、具体的な業務改善策を実行します。
たとえば、「手作業がメインの業務はデジタル化する」「複雑な処理をする業務は外部に委託する」などを実践するだけで、社員の負担は大幅に解消されます。
しかし、改善方法によっては想定以上にコストがかかったり、メンバーの混乱を招いたりするケースも無視できません。したがって、改善策を実施するときには、予算内に収まることはもちろん、チームから十分な理解を得る必要があるのです。
経理の業務改善アイデア6選
ここでは、経理の業務改善アイデアを6つご紹介します。自社に最適な改善方法を見つけて、すぐに実践しましょう。
（1）業務フローを可視化する
まずは、経理の業務改善アイデアとして、業務フローの可視化が挙げられます。
業務フローを可視化すれば「誰が、いつ、どの業務をしているか」が分かります。その結果、作業負荷の偏りを防いだり、スムーズなサポートをしたりできるのです。
とくに、経理は専門知識が必要な業務が多く、ベテラン社員に属人化しがちです。このような状況を防ぐうえでも、業務フローを可視化して課題を見つけやすくしましょう。
（2）アウトソーシングを利用する
次に、面倒な定型業務には、アウトソーシング（外注）の利用もおすすめです。
たとえば、給与計算や記帳、年末調整などの面倒な作業を外注すると、ミスを防げることはもちろん、ほかの重要業務に割く時間も大幅に増えます。
ただし、アウトソーシングを継続利用する予算がない場合は「年度末や決算月などの繁忙期にまとめて依頼する」などの工夫をしましょう。
（3）ベテラン社員のノウハウを蓄積する
次に、ベテラン社員のノウハウを蓄積するのも、経理の業務改善に有効です。
経理部門に多くの人員を割ける企業が少ないため、日次・月次・年次で担当業務が固定される形態が多いです。そのため、業務が属人化してしまい、1人でも従業員が欠けてしまうと業務が大きく滞ってしまう恐れがあります。
こうしたリスクを回避するためにも、ノウハウの蓄積は大切です。ノウハウを蓄積すれば、特定の社員が不在でも従来通り業務を遂行できるようになり、同じ業務を引き継ぐのに前任者の経験や知恵を最大限に活かせるため業務の円滑化につながります。
（4）キャッシュレス化を進める
次に、キャッシュレス化を進めることも、経理の業務改善に役立ちます。
経理で小口現金を扱っている場合、現金の補充や両替、現金出納帳の管理といった細かな作業が発生します。また、残高と出納帳の記載を照合する必要もあるため、労働時間が長引く原因にもなりかねません。
しかし、キャッシュレス化によって小口現金を廃止すれば、煩雑な金銭管理が不要になり、担当者の負担も大きく省けるのです。
（5）会計ソフトを導入する
次に、経理業務を改善するには、会計ソフトを導入することも効果的です。
予算管理や給与計算などを手作業でしていれば、計算ミスのリスクが伴ううえに、そもそも記帳に無駄な時間がかかってしまいます。そこで、会計ソフトがあれば、入金や帳票出力が自動化されたり、計算の工数を省いたりできるのです。
その結果、経験の浅い社員でもスムーズに作業を進められるようになります。ただし、会計ソフトは多機能なケースが多いので、ITが苦手な場合は注意しましょう。
（6）ITツールを活用する
最後に、経理の業務改善に最適な方法として、ITツールが挙げられます。
経理業務に紙やExcelが使用されている場合、目的の資料が埋もれたり、共有に時間がかかったりする課題があります。しかし、あらゆる情報を一元化する「ITツール」を使えば、”検索機能”や”メッセージ機能”も備わっているため、業務をスムーズに進められるのです。
とはいえ、「人気だから・有名だから」という理由でITツールを選定してしまうと、社員によっては使いこなせません。一方、初期の導入支援などを含むサポート体制が整っているのようなツールであれば、担当者の負担も少なく導入までスムーズです。
なぜ進まない？経理業務の3つの課題
ここでは、経理業務の課題として「紙媒体の書類が多い」「業務が属人化しやすい」「通常業務で手一杯になっている」について紹介します。
- 紙媒体の書類が多い
- 業務が属人化しやすい
- 通常業務で手一杯になっている
取引先から請求書が紙で届いたり、反対に紙媒体の発行を求められることもあるため、業務を完全に電子化するのは困難です。また、紙媒体でのやり取りは「紙の管理に手間がかかる」「書類の保管スペースが必要になる」などの課題が生じ、業務が煩雑になります。
経理業務は専門的な知識が必要なうえ、長年同じ社員が業務を担当している場合が少なくありません。そうすると、作業がブラックボックス化してしまい、その人が不在になると業務の遂行が困難になってしまいます。
経理部門に配属される人員数は少ないため、日々のルーティーン作業をこなすだけでも手一杯なのが現状です。そのため、新しくツールを導入したり、業務フローを提案したりするための時間が割けず、改善すべき業務環境であっても対策を講じるのが難しいです。
これまで経理業務が抱える代表的な課題について説明しましたが、この他にも各社それぞれが持つ固有の問題点があるはずです。自社の経理業務をよく分析し、改善するのに最適な施策を行いましょう。
経理で業務改善に成功した事例2選
ここでは、経理で業務改善に成功した2つの事例をご紹介します。これまで、経理の業務改善イメージが明確でなかった方は必見です。
事例1｜長田整形外科
長田整形外科は、東京都の田園調布にある整形外科です。
同院では、財務会計や経営に関する知識が不足している課題があったため、コンサルティングサービスの「TOMA」にサポートを依頼しました。その結果、業務の負担が大きく減っただけでなく、クリニックの経営も安定したのです。
また、国からの補助金に関する申請書類も、作成をTOMAに委託したことで、無事に採択されて新規事業にも取り組みやすくなっています。
事例2｜クオーレ労務経営
引用および参考：stock：インタビュー記事「クオーレ労務経営」
クオーレ労務経営では、社会保険労務士事務所を運営しています。
同事務所では”ファイルサーバー”で情報共有をしていたものの、逐一ファイルを探し出して開く手間が課題でした。そこで、情報を簡単に残せる「ノート」があり、ノートを「フォルダ」別で管理できるツール「Stock」を導入したのです。
その結果、給与や助成金に関するデータへ瞬時にたどり着けるようになり、チームの情報共有が一気にスムーズになりました。さらに、Stockは誰でも説明なしで使えるほどシンプルなので、使い方を覚える時間もかかっていません。
【これで解決】経理の業務改善を最も促進するITツール
以下では、経理の業務改善を最も促進するITツールをご紹介します。
経理業務を効率化するには、アウトソーシングを利用したり会計ソフトを導入するなどの方法があります。特に、「ITツール」を導入すると、情報を一か所で管理でき、情報共有をスムーズに行えます。
しかし、ただ経理システムは操作が複雑なものが多いため、使い方を覚えるまでに教育コストがかかってしまい、かえって業務効率を低下させかねません。そのため、システムの使い方や専門的な知識はノウハウとして蓄積し、社員が必要な情報に即アクセスできる環境をつくりましょう。
結論、経理の業務改善を促進するには、社内情報を一括管理でき、探したい情報へ簡単にアクセスできるツールが最適です。
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経理で業務改善を進める手順・アイデア・事例まとめ
ここまで、経理で業務改善を進める手順やアイデア、事例を中心に解説しました。
経理で業務改善するときは、作業を洗い出してから「ECRSの原則」に沿って見直しをしましょう。一方、業務改善のアイデアにはアウトソーシングの利用や、会計ソフトが挙げられますが、事例にもあったように、あらゆる情報を一元化する”ITツール”が最適です。
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