コストマネジメントとは？目的や基礎知識、予算に納めるための手法を解説
プロジェクトは定められたスケジュール内で確実に達成しなければならないなか、予算内でプロジェクトの成果を最大化させる「コストマネジメント」のスキルも必須で求められます。
一方、コストマネジメントのできる人材が少なく、しばしばプロジェクトに想定以上のコストがかかり、円滑に進まず悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、コストマネジメントを失敗しないための注意点や手順をご紹介します。
- コストマネジメントを強化し、利益の最大化を図りたい
- コストマネジメントを実施したいが、何から始めればいいのか分からない
- 継続してコストマネジメントできる環境を整えたい
という方はこの記事を参考にすると、コストマネジメントの注意点を把握しつつ、プロジェクトの効率化もできるようになります。
目次
コストマネジメントとは
コストマネジメントとは、プロジェクト管理に必要となる知識を体系化した「PMBOK（Project Management Body of Knowledge）」の一領域を占めており、プロジェクトの遂行には不可欠な要素です。
そこで、まずは、コストマネジメントを実施していくうえで、コストマネジメントをする目的や、”コスト削減”といった混同しがちなワードとの違いを理解しましょう。
コストマネジメントの目的
コストマネジメントの目的は、承認された予算内でプロジェクトを完了させることです。
そのためには、必要となるコストの見積もりや予算の設定はもちろん、進行中は予算内に収まるように調整するといった活動が求められます。とくに、大規模な計画では、人件費や材料費にも膨大なコストがかかるため、適切に管理し利益に繋げる必要があるのです。
適切なコストマネジメントができていない状態では、万が一に※スコープクリープが生じた場合に対処しきれず、プロジェクト全体が赤字となりかねないのです。
※スコープクリープ：当初定められていた要件が、徐々に拡大していく事象のこと。
コストマネジメントとコスト削減の違い
混同されがちな「コストマネジメント」と「コスト削減」の違いは明確です。
「コストマネジメント」では、無駄なコストが嵩まないような枠組みに沿って遂行していく一方、「コスト削減」は利益を最大化するために、費用を抑える取り組みになります。
そして、企業がコスト削減を検討する場合は、以下3つのコストを見直しましょう。
| 【分類】 | 【対策】 |
|---|---|
| オフィスコスト |
社内で使う印刷用紙代や、印刷に係るインク代などの消耗品が該当するため、ペーパーレス化や印刷回数の削減が効果的です。そのほか、運送や清掃など、外部業者との契約内容の見直しも大切です。 |
| エネルギーコスト |
水道やガス、電気代などは、年間で支出される金額も大きいため、日々の節約が大切です。たとえば、白熱電球からLED証明への交換することで、長期的にみたときに大幅な消費電力を大幅に抑えられます。 |
|
オペレーション
コスト |
オペレーションコストは「変動費」「固定費」に分類できます。前者であればオフィスの賃貸を見直したり、後者であれば原材料の仕入れ先を見直したりすることで、コスト削減につながります。 |
コスト削減では、短期的かつ単発的な対策になるため、中長期的な取り組みであるコストマネジメントとは、似て異なるものであることを理解しておくことが大切です。
コストマネジメントを実施するにあたっての2つの注意点
ここでは、コストマネジメントを実施するにあたっての注意点を2つご紹介します。以下のポイントを抑えなければ円滑なマネジメントが実施できず、頓挫してしまうので注意が必要です。
（1）マネジメントを継続的に実施できること
前提として、コストマネジメントのプロセスが継続的に実施可能である必要があります。
コストマネジメントの枠組みを作成するときは、必ずプロセスを明示しなければなりません。「どのようにマネジメントをしてコストを最適化していくか」の筋道が不透明では場当たり的な対応になるので、効果的なマネジメントが実現できなくなるからです。
また、マネジメントする労力が大きすぎると、ストレスが増え、プロジェクトの進行に割くべきリソースを無駄に消費してしまいます。したがって、コストマネジメントの枠組みを作成する際は、シンプルに継続して実施できるようにすることが大切です。
（2）定性的な情報の可視化
また、コストマネジメントでは、チームの定性的な情報を可視化すべき点にも注意が必要です。
数値で表されるコストの方が削減しやすいため、定量的な情報のみに着目されるケースが少なくありません。しかし、メンバーの業務プロセスや貢献度など定性的な情報に留意しなければ、モチベーションが低下しプロジェクトの進行にも悪影響が出てしまうのです。
したがって、適切にコストマネジメントをするには定性的な情報を可視化したうえで、評価の検討材料になるように適切に管理しなければなりません。
そこで、扱う情報が多いチームは「ナレカン」のようなツールを活用して、情報管理を効率化する傾向があることも今日のトレンドです。
4ステップ！PMBOKのコストマネジメントの手順
PMBOKにおけるコストマネジメントでは、以下の4ステップに沿って実施されます。プロジェクトの遂行に向けて、現実的な予算の設定と、超過させないためにコントロールしたい方は必見です。
ステップ1. コストマネジメントの計画を立てる
まずは、プロジェクトを通したコストを計画し、管理するための方針や手順を定めた計画書を作成します。コストマネジメントの計画書には以下の項目を記載しましょう。
- コスト見積もりの有効桁数
- コストの測定単位
- 組織の手続きとのリンク
- コントロールしきい値
- パフォーマンス測定の規則
- 報告形式
プロジェクトの範囲に応じた見積もり精度を定めます。
労働日数や稼働時間など、測定の単位を定義します。
組織の手続きとマネジメント計画と紐づけます。具体的に歯、スケジュールに変更があった場合の対応や、年末年始を跨ぐ場合にはどのように進めるかなどを擦り合わせます。
コントロールしきい値とは、スケジュールと実際のパフォーマンスを監視し、コントロールするための値です。つまり、「ここの値を越えたら何かしらの対策を講じる」というような線引きになります。
何をもって目標を達成したと判断するのかを定めます。パフォーマンスを測定するにあたっては、EVM法（Earned Value Management）が有効です。
報告する頻度や書式を決定します。ExcelやWordなどが挙げられますが、ファイルが煩雑化しやすく更新が面倒なため、昨今では「ナレカン」ITツールが重宝されています。
計画書は評価に関わる認識齟齬を無くしたり、効率的なコストマネジメントを継続したりするためにも計画書の作成は欠かせません。また、以降のほかのプロジェクトを見据えて、作成した計画書はノウハウとして蓄積させましょう。
ステップ2. コストの見積もりを算出する
コストマネジメントの方針や手順が定まったら、プロジェクトの遂行に必要なコストを定量的に見積もります。プロジェクト開始前は情報が少なく、コスト見積もりの精度が低くなりがちなため、以下のような既存の手法を用いてコストを算出するのがおすすめです。
- 類推見積もり法
- パラメトリック見積もり法
- ボトムアップ見積もり法
過去に実施済みの類似のプロジェクトで発生したコストを参考に、相対的に見積もる手法です。
プロジェクトに関連する過去の情報と、ほかの変数の統計的関係を用いて見積もる手法です。
プロジェクトを通して求められるタスクや工程から見積もった工数を積み上げ、全体の工数を見積もる手法です。
一方、コストの算出を効率化する目的で業務委託する場合もありますが、費用がかさんでしまうので資料を内製化しておく必要があります。
ステップ3. プロジェクトの全体の予算を設定する
次に、見積もったコストを概算してプロジェクト全体の予算を算出します。
コスト見積もりを基にスケジュールの時系列に沿って予算配分し、プロジェクトの進行中に参照できる予算の基準である「コストベースライン」を作成します。ベースラインを設けることで、予期せぬトラブルが生じても、余裕をもって対処できるようになります。
コストベースラインはプロジェクトの進行中に変更不可能なので、不足することのないように余裕を持たせて設定するのが望ましいです。
ステップ4. コストコントロールで管理する
コストコントロールは作成したコストベースラインと費用の実績をチェックし、コストを管理するプロセスです。
プロジェクトの進行中にベースラインとの乖離が生じたとき、ベースラインの変更に働きかける要因を適切に分析したうえで、具体的な対処が求められます。予算がベースラインを大幅に超過した場合は、コスト削減の対策を速やかに進めなくてはなりません。
コストコントロールが正確であれば、コスト超過が予想される場合でも許容範囲内に収められるように、コストマネジメントができます。
コストマネジメントにおすすめのITツール
以下では、コストマネジメントの効率化におすすめのITツールをご紹介します。
コストマネジメントを実施するときは、計画書はもちろん見積りの背景などのあらゆる情報を一元化することで、無駄な工数を削減できます。しかし、Excelなどのファイル形式では、情報が散乱しやすいうえに、どこに情報があるのかが瞬時に把握できず不便です。
そこで、マネジメントの計画段階から「ナレッジ管理ツール」を用いて、マネジメントに関わる情報を残しましょう。ただし、結局のところ「検索性」が悪いツールでは、Excelなどの不便さを解消できないので、注意が必要です。
したがって、シンプルなコストマネジメントには、テキストや資料を含むあらゆる情報を一元化でき、超高精度の検索機能が備わったツール「ナレカン」一択です。
ナレカンを使って計画書を作成すれば、マネジメントに必要な情報や資料をすべて残せるうえ、任意のメンバーとの共有も容易です。また、ナレカンの検索機能では、テキストはもちろん、ファイルや画像内の文章も探し出せるので、必要な情報を見つけるのに一切の手間がかかりません。
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ナレカン内に一元化したナレッジは、「断捨離機能」によって、常に最新でフレッシュなものになります。そのため、ナレッジが陳腐化することがありません。
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失敗しないコストマネジメントの手順のまとめ
これまで、コストマネジメントの注意点や手順を中心にご紹介しました。
コストマネジメントを成功させるには「継続的に実施できること」と「定性的な情報の可視化」に注意しながら、正しい手順に沿って実施する必要があります。ただし、資料の内製化や情報の一元管理ができなければ、効果的なマネジメントは実現しません。
アナログな情報管理では管理が煩雑になるため、ITツールの導入が求められます。とくに、昨今はさまざまな情報で溢れているので、必要な情報に確実にたどり着ける「検索機能」が不可欠です。
そこで、コストマネジメントを含む情報管理には、社内のあらゆる情報を一元化でき、必要なタイミングで即アクセスできるツール「ナレカン」がす。
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