多店舗展開を成功させるには、店舗ごとの運営ノウハウを全店で共有し、一定の品質を保つことが欠かせません。ノウハウが共有されなければ、味や接客にばらつきが出たり、新店舗立ち上げのたびに同じ説明を繰り返したりする事態につながります。
しかし、実際には「店長ごとにやり方が違い、チャットやや口頭で伝えても残らない」「どう共有すればよいか分からない」と悩む方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ノウハウ共有がうまくいかない原因や失敗パターン、現場の負担を増やさない共有方法、自社に合うツールの条件を中心に解説します。
-
この記事でわかること
- 多店舗展開でのノウハウ共有が失敗するのは、教え合う機会の不足や基準の未整備といった仕組みに原因があります。チャットや口頭だけの共有、読まれないマニュアルなど、よくある失敗パターンを解説します。
- 失敗を避けるには、「流れる情報」と「残す情報」を分け、必要な情報を誰でもすぐ探せる状態にすることが大切です。すべてを残そうとせず、共有するノウハウの優先順位と、更新担当者・頻度を決めるのがポイントです。
- 現場の負担を増やさない方法として、日報の活用、動画・写真、チャットツール、ナレッジ管理ツールの4つをご紹介します。店舗数が増えるほど、情報を一元管理できるツールが現実的な選択肢になるため、ツール選びの条件もあわせて解説します。
目次[表示][非表示]
多店舗展開でノウハウ共有が難しくなる理由
店舗が増えるほど同じ商品でも味や接客に差が出やすくなるのは、店長の力量だけでなく、共有の仕組みにあります。ここでは、多店舗展開でノウハウ共有が難しくなる4つの理由をご紹介します。
店長同士が教え合う機会が減る
店舗が増えると、店長同士が顔を合わせて教え合う機会が減り、ノウハウが自然には伝わらなくなります。
1店舗の頃は、同じ現場で働きながら先輩のやり方を見て覚えられましたが、店舗が分かれると営業時間やシフトの都合で店長が集まる時間をほとんど取れません。その結果、うまくいった接客や調理の工夫も、その店舗の中だけで完結してしまいます。
学び合う場がないままでは、店舗ごとに独自ルールで進めるようになり、商品やサービスにばらつきが生じるのです。
ベテランの経験が言語化されない
ベテランスタッフのノウハウは、本人にとって当たり前になっているため、言葉にして残されにくいものです。
たとえば、長年の経験で身についた味の調整や、忙しい時間帯の人員配置などは、本人が無意識におこなっている判断です。そのため後輩に聞かれても説明が難しく、記録にも残らないまま、その店長の頭の中に留まります。
言葉にされない経験は、そのスタッフが異動や退職をすると、店舗に引き継がれないまま失われてしまうのです。
守るべき基準が決まっていない
多店舗展開では、「どこまでを全店共通にするか」という基準が決まっていないと、店舗ごとに自己流のやり方が定着してしまいます。
盛り付けの仕上がりや調理の手順、接客の声かけなどに明確な基準がなければ、店長は自分の経験をもとに判断するしかありません。同じ商品でも、店舗によって味や見た目が違ってくるのはそのためです。
基準がなければ、新しく店長になった人や新店舗の立ち上げメンバーは、何を目指せばよいのか分からないまま、手探りで運営を始めることになります。
相談がエリアマネージャーに集中する
店長が判断に迷ったときの相談先が統括者だけになっていると、エリアマネージャー1人に質問が集中します。
店長ごとに電話やLINEで個別に質問が届くため、同じ内容の質問に何度も答えることになります。しかも回答は1対1のやり取りで終わるので、他の店長には共有されません。
店舗数が増えるほど、エリアマネージャーの返答が追いつかなくなり、現場の判断が止まってしまいます。
ノウハウ共有がうまくいかない4つの失敗パターン
ノウハウ共有がうまくいかない店舗には、共通する失敗パターンがあります。ここでは、多店舗展開で起こりやすい4つの失敗パターンをご紹介します。
チャットや口頭だけで共有し、情報が流れる
LINEなどのチャットや口頭だけでノウハウを共有していると、情報が次々と流れてしまい、必要なときに見つけられなくなります。
チャットでは次第に過去のやり取りが埋もれ、口頭で伝えた内容は聞いた人の記憶にしか残りません。そのため、後から店長になった人や新しく入ったスタッフは、過去の共有内容を見返せず、一から聞き直すことになります。
共有した時点では伝わっていても、時間が経つと誰も探し出せず、共有していないのと変わらない状態になってしまうのです。
紙・長文のマニュアルが読まれない
時間をかけて紙や長文のマニュアルを作っても、現場で読まれなければ、ノウハウの共有にはつながりません。
店舗の業務は忙しく、分厚い資料を開いて必要な箇所を探す余裕はほとんどありません。しかも一度作ったあとは更新されにくく、内容が現状と合わなくなると、ますます参照されなくなります。
このように、紙や長文のマニュアルでは、作る側の手間だけが大きく、使われない資料が残り続けることになるのです。
会議や店舗訪問での説明が残らない
会議や店舗訪問で直接説明しても、記録が残らなければ、その場にいた人にしか伝わらず、ノウハウとして定着しない恐れがあります。
会議で共有された情報は、時間が経つと決まった内容の細部が曖昧になり、欠席した店長には内容が届きません。店舗訪問での口頭の助言も、記録がなければその店舗だけの話で終わり、他の店舗には広がりません。
したがって、説明が記録されないと、新店舗のオープンや店長の交代のたびに、同じ説明を一から繰り返すことになるのです。
すべてのノウハウを残そうとして負担が大きくなっている
ノウハウをすべて残そうとすると、記録する量が多くなりすぎてしまい、現場の負担が大きくなって続かなくなります。
現場のあらゆる業務を網羅しようとすると、店長は通常業務の合間に膨大な記録を作ることになります。途中で手が止まれば中途半端な状態で放置され、そのうえ情報が多すぎて、本当に必要な内容が見つけにくくなります。
残す範囲を決めないまま始めると、共有の取り組みそのものが途中で止まってしまうのです。
【失敗回避】多店舗展開でのノウハウ共有を成功させるポイント
多店舗展開におけるノウハウ共有を成功させるには、共有の仕組みの見直しが必要です。ここでは、多店舗展開でノウハウ共有を成功させる仕組みのポイントをご紹介します。
「流れる情報」と「残す情報」に分ける
ノウハウ共有を続けるには、日々のやり取りで流れていく情報と、後から見返す情報を分けて扱うことが大切です。
シフトの調整や当日の連絡は、その日だけ必要になる「流れる情報」である一方で、調理の手順や接客の基準、トラブル対応は、何度も参照される「残す情報」にあたります。両方を同じチャットで扱うと、残すべき情報が埋もれてしまいます。
残す情報だけを別の場所にまとめておけば、記録する量も絞れ、必要なときにすぐ参照できます。
誰でも必要な情報をすぐに探せる状態でまとめる
残した情報は、店長もスタッフも、必要なときにすぐ探し出せる状態にしておかなければ、活用されません。
情報の置き場所が店舗ごとに違っていたり、分類の仕方が整理されていなかったりすると、探すだけで時間がかかります。フォルダを業務の種類ごとに分けたり、タイトルに「何の手順か」が分かる言葉を入れたりすれば、初めて見る人でも目的の情報にたどり着けます。
探す手間が小さくなるほど、現場は自分で調べて解決するようになり、エリアマネージャーへの問い合わせも減っていきます。
共有するノウハウの優先順位をつける
すべてを一度に残そうとせず、効果の大きいノウハウから順に共有していくことが、無理なく続けるコツです。
たとえば、看板商品の調理手順やオープン前の準備の流れなど、店舗間の差が売上やお客様の満足度に直結する業務と、新店舗の立ち上げで毎回説明している内容は優先度が高いと言えます。まずはこれらに絞って1店舗で始めれば、作成の負担を抑えながら効果を確かめられます。
優先順位を決めて小さく始めることで、現場の負担を抑えたまま、確実に成果の出るノウハウから共有できます。
ノウハウの更新担当者・頻度を決める
一度まとめたノウハウは、更新する担当者と見直す頻度を決めておかなければ、古い情報のまま放置されてしまいます。
メニューの変更や調理手順の改善があっても、担当者が決まっていなければ、更新が止まります。そこで、業務ごとに担当者を決め、月に1回など見直す時期をあらかじめ設定しておくと、内容を現状に合わせて保てます。
情報が常に最新であれば、現場スタッフが誤って古い情報を参考に業務を進めてしまうのを防げるのです。
現場の負担を増やさないノウハウ共有の方法
多店舗展開のノウハウ共有は、現場の負担が大きいと続きません。ここでは、現場の負担を増やさずにノウハウを共有する4つの方法を、メリット・デメリットとあわせてご紹介します。
日報・業務報告を活用する
すでに書いている日報や業務報告を使えば、現場の追加負担を抑えたまま、ノウハウを集められます。
たとえば、日報に「今日うまくいった工夫」といった欄を加えるだけで、店長が日々気づいたことを自然に記録でき、他店舗にも役立つ内容を抽出して共有用にまとめられます。ただし、日報は日付順に流れるため後から探しにくく、書く人によって内容の質や量に差が出やすい点に注意が必要です。
日報は始めやすい反面、たまった情報を探せる形に整理して初めて、全店で使えるノウハウになります。
動画・写真でノウハウを共有する
動画や写真を使えば、文章では伝わりにくい作業の手順や仕上がりの基準を、短時間で正確に伝えられます。
たとえば、盛り付けの完成形や調理の動きなどは、スマートフォンで撮影するだけで記録でき、見る側も一目で理解できます。ただし、動画は撮影や編集に手間がかかるうえ、手順が変わるたびに撮り直す必要があり、数が増えると目的の情報を探しにくくなる点に注意が必要です。
見て真似できる動画や写真は、言葉にしにくい経験を共有する手段として有効なため、撮影対象を絞って取り入れるのが現実的です。
チャットツールでリアルタイムで共有する
チャットツールを使えば、離れた店舗にいる店長同士でも、気づいたことや判断に迷ったことをその場ですぐに共有できます。
トラブル対応や急な仕様変更も、グループに投稿すれば全店に一斉に伝わり、疑問もその場で解消できます。ただし、投稿が新しいやり取りに埋もれて後から探せなくなるため、そのまま蓄積するノウハウとしては使いにくい点には注意が必要です。
スピードが求められる連絡には向いているため、残すべき内容だけを別の場所に移す使い分けが欠かせません。
ナレッジ管理ツールでノウハウを一元管理する
ナレッジ管理ツールを使えば、日報や動画、会議の記録など、さまざまな形で散らばった情報を1ヶ所にまとめ、誰でも探せる状態にできます。
検索で目的の情報が見つかるため、店長が自分で調べて解決でき、エリアマネージャーへの問い合わせも減らせます。ただし、導入には費用がかかり、情報の残し方や更新担当者といった運用ルールを決めておかなければ、使われないまま終わる点には注意が必要です。
店舗数やスタッフが増えるほど情報の置き場所を統一する効果が大きくなるため、多店舗展開では最も根本的な解決につながる方法です。
多店舗展開におけるノウハウ共有に活用できるツールの条件
多店舗展開におけるノウハウの共有には、ナレッジ管理ツールを活用するのがおすすめです。ここでは、ノウハウ共有に活用できるツールの条件をご紹介します。
- 散らばった情報を1ヶ所にまとめられる
チャットや日報、Excel、会議の記録などに分かれている情報を一元管理できれば、「どこにあるか分からない」という状態をなくせます。 - 必要な情報がすぐに見つかる
キーワードや普段の言葉で検索できれば、店長やスタッフが自分で調べて解決でき、エリアマネージャーへの問い合わせも減らせます。 - 情報の更新が簡単にできる
ITに不慣れな人でも迷わず編集できる操作性があれば、忙しい現場でも情報を最新に保てます。 - 導入後の定着まで支援がある
ツールを入れただけで終わらせず、運用ルールの設計や社内への浸透まで伴走してもらえれば、使われないまま終わるリスクを抑えられます。
これらの条件を満たすツールを選べば、店舗数が増えても、現場の負担を抑えながらノウハウ共有を続けられます。
まとめ|ノウハウ共有を成功させて多店舗展開をスムーズに
これまで、多店舗展開でノウハウ共有が難しくなる理由や、うまくいかない失敗パターン、成功させるポイント、現場の負担を増やさない共有方法を中心にご紹介しました。
ノウハウ共有は、店長同士が教え合う機会の不足や基準の未整備、チャットや口頭だけの共有によって進みにくくなります。そのため、「流れる情報」と「残す情報」を分け、優先順位をつけたうえで、更新担当者と頻度を決めて運用することが大切です。
店舗が増え、新店舗の立ち上げも続くなかでは、記録の負担が小さく、現場の誰もが迷わず使えて、必要な情報にすぐたどり着ける仕組みが欠かせません。さらに、質問と回答のやり取りそのものを蓄積できれば、店長が気軽に疑問を解消でき、エリアマネージャーへの相談の集中も減らせます。
結論、多店舗展開のノウハウ共有を進めるうえで最適なのは、散らばった情報も質問のやり取りも1ヶ所に蓄積でき、現場の誰もが直感的に使えるナレッジ管理ツール「ナレカン」です。
無料トライアルから始められるので、ぜひ「ナレカン」を導入し、店舗ごとのノウハウを全店で共有できる体制を整えましょう。
