製造業のナレッジマネジメント成功事例5選!進め方とポイント
製造業のナレッジマネジメントの成功事例には、熟練者の作業ノウハウを動画で共有して新人教育を効率化した事例や、社内の情報を一元管理して必要な情報を探す時間を削減した事例などがあります。
一方、製造現場では、長年培われた技術やノウハウが特定の社員に集中し、新人への技術継承や情報共有がうまく進まないケースもあります。そのため、「これまで口頭でノウハウを共有してきたものの、新人が増えて十分に伝えきれなくなっている」「他社の成功事例を参考に、自社でもナレッジマネジメントを進めたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
ただし、他社と同じ方法を取り入れても、自社が抱える課題に合っていなければ、十分な効果は得られません。そのため、各社がどのような課題を抱え、どのような方法で解決したのかを理解したうえで、自社に適した取り組みを選ぶことが重要です。
そこで今回は、製造業におけるナレッジマネジメントの成功事例5選や、課題別に取り入れるべき方法、具体的な進め方を中心にご紹介します。
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この記事でわかること
- 製造業のナレッジマネジメントの成功事例には、作業ノウハウを動画で共有して新人教育を効率化した事例や、熟練者の判断を数値化して属人化を解消した事例があります。各社が抱えていた課題や具体的な取り組み、得られた効果がわかります。
- 自社に適したナレッジマネジメントの方法は、抱えている課題によって異なります。作業手順のばらつきには動画マニュアル、熟練者への依存には技術の数値化・言語化、情報の分散にはナレッジの一元管理が効果的です。
- ナレッジマネジメントを進めるには、共有すべきノウハウを洗い出し、記録・整理したうえで社内に共有します。また、社員が継続的に活用できるよう、情報の更新ルールを決め、必要な情報をすぐに検索できる仕組みを整えることが重要です。
製造業のナレッジマネジメント成功事例5選
以下では、製造業のナレッジマネジメント成功事例5選をご紹介します。他社の事例を参考にしたい方は必見です。
新日本工機株式会社|熟練者のノウハウを動画で共有し、作業を標準化

新日本工機株式会社は、工作機械や産業機械などの製造・販売を手がける企業です。
同社では、製造現場の作業がベテラン社員の技術や経験に依存しており、作業者や指導者によって手順の認識が異なることが課題でした。また、作業手順を統一するために紙のマニュアルを整備したものの、文章だけでは正確に伝わらず、作業品質のばらつきや手戻りが発生していました。
そこで、動画マニュアル作成ツール「tebiki」を導入し、作業手順や熟練者のノウハウを動画で記録・共有する仕組みを整えました。さらに、毎週の会議で現場に必要なマニュアルを洗い出し、作成担当者や期限を決めることで、継続的にノウハウを蓄積できるようにしました。
その結果、導入から1年間で1,500本以上の動画マニュアルを作成し、ベテラン社員の技術を若手・中堅社員へ継承しやすくなりました。また、正しい作業手順だけでなく、よくあるNG例も動画で共有することで、作業方法の標準化が進み、作業品質の安定化にもつながっています。
この事例から、熟練者のノウハウをほかの社員が理解できる形で記録し、繰り返し確認できる環境を整えることが重要だとわかります。とくに、文章では伝わりづらい作業の動きや注意点は動画で記録し、新人教育や日々の作業で活用することが効果的です。
参考:tebiki現場教育「人が育つ環境づくりとして動画マニュアルtebikiを活用。 技術の蓄積と作業品質の安定を実現。」
アサヒ飲料株式会社|動画マニュアルの導入で新人教育を効率化

アサヒ飲料株式会社は、「三ツ矢サイダー」や「ウィルキンソン」などの飲料を製造・販売する企業です。
同社では、新人教育を現場でのOJTを中心に実施していましたが、教育担当者によって教え方が異なり、新人の理解度にばらつきが生じていました。また、新人教育に勤務時間の半分以上を費やすこともあり、教育担当者が通常業務に十分な時間を確保できないことも課題でした。
そこで、動画マニュアル作成ツール「tebiki」を導入し、作業手順や熟練者のノウハウを動画で記録・共有する仕組みを整えました。これにより、従来の紙のマニュアルでは伝えづらかった作業のコツも視覚的に確認でき、新人が教育担当者に教わるだけでなく、動画を見ながら作業を学べるようにしました。
その結果、教育担当者がOJTに費やす時間は勤務時間の半分程度から長くても1日2時間ほどに短縮され、通常業務と新人教育を両立しやすくなりました。また、手順書の作成工数も従来の3分の1に削減され、熟練者のノウハウを新人に伝えやすくなっています。
この事例から、新人教育を効率化するには、教育担当者によって異なる教え方を統一し、新人が自分で作業手順を確認できる環境を整えることが重要だとわかります。
参考:tebiki現場教育「OJTや手順書作成工数を大幅に削減!熟練者の暗黙知も動画で形式知化」
中島合金株式会社|熟練者のノウハウを数値化して属人化を解消

中島合金株式会社は、銅合金やアルミニウム合金などの鋳物を製造する企業です。
同社では、純銅を溶かして製品をつくる工程において、添加剤の投入量を熟練者の経験や勘に頼って判断していました。そのため、特定の熟練者が休むと製造工程全体に影響が出るほか、若手社員への技術継承にも時間がかかることが課題でした。
そこで、AIを活用した「Hepaisto」を導入し、これまで熟練者の経験に頼っていた添加剤の投入量を算出できる仕組みを整えました。具体的には、製造条件を入力すると、AIが適切な添加剤の投入量を根拠とともに提示するため、熟練者以外の社員でも判断しやすくなりました。
その結果、これまで熟練者しか担当できなかった作業をほかの社員も代行できるようになり、属人化の解消につながりました。
この事例から、熟練者の経験や勘に依存する業務では、判断基準を数値化し、ほかの社員も理解・活用できる状態にすることが重要だとわかります。とくに、熟練者しか対応できない工程がある製造現場では、判断に必要な条件や基準を明確にすることで、技術継承を進めやすくなります。
参考:三菱総研DCS「AIが熟練技能を数値化、製造業の属人化問題を解決」
古河電気工業株式会社|ナレッジを一元管理して拠点間の情報共有を効率化

古河電気工業株式会社は、光ファイバーや電力ケーブルなど、情報通信・エネルギー分野のインフラを支える製品を製造する企業です。
同社の総務・人事労務部門では、社内規程や過去の対応事例などがメールやTeams、共有フォルダに分散しており、必要な情報を探すのに時間がかかっていました。また、各拠点で発生したイレギュラーな対応事例がほかの拠点に共有されず、同じような問題が起こるたびに対応方法を一から検討することも課題でした。
そこで、ナレッジ管理ツール「ナレカン」を導入し、社内規程や各拠点の対応事例を一元管理する仕組みを整えました。具体的には、情報を「基礎知識」と「イレギュラー事例」に分類して蓄積し、各拠点の担当者が必要な情報を検索できるようにしました。また、過去の対応結果だけでなく、判断に至った背景や理由も記録することで、ほかの拠点でも参考にできるようにしています。
その結果、情報検索にかかる時間を最大90%削減し、新入社員もAI検索機能を使って必要な情報を自分で確認できるようになりました。さらに、各拠点で発生したイレギュラーな対応事例を共有できるようになり、同じような問題が発生した際も、過去の対応を参考に判断できるようになりました。
株式会社資生堂|専門知識を一元管理して社内の問い合わせを削減

株式会社資生堂は、化粧品を中心とした製品の研究・開発、製造・販売を手がける企業です。
同社のグローバル規制部では、各国の法規制に関する情報をファイル共有サービスや社内の情報共有プラットフォームで管理していました。しかし、情報が体系的に整理されておらず、必要な資料を探すのに時間がかかっていました。また、最新の規制情報を特定の担当者しか把握しておらず、担当者に直接確認しなければわからないことも課題でした。
そこで、ナレッジ管理ツール「ナレカン」を導入し、規制に関するマニュアルやガイドライン、業務で使う資料などを一元管理する仕組みを整えました。さらに、専任の管理者を配置して情報の整理・更新ルールを策定し、各国の規制変更にも対応できるよう、常に最新の情報を共有する運用を進めました。
その結果、必要な規制情報を社員が自分で検索・確認できるようになり、担当者への問い合わせが減少しました。また、研究部門や開発部門なども必要な情報を確認しやすくなり、現在では約800名の社員が利用するまでに拡大しています。
【課題別】製造業で取り入れるべきナレッジマネジメントの方法3選
製造業のナレッジマネジメントには、動画マニュアルの活用や技術の数値化、情報の一元管理など、さまざまな方法があります。ただし、企業によって抱えている課題は異なるため、他社の成功事例をそのまま取り入れるのではなく、自社の課題に合った方法を選ぶことが重要です。
ここでは、製造業で取り入れるべきナレッジマネジメントの方法を、課題別に3つご紹介します。
(1)作業手順や教育方法にばらつきがある場合は「動画マニュアル」
作業手順や新人への教育方法にばらつきがある場合は、動画マニュアルの活用が効果的です。なぜなら、文章だけでは伝わりづらい作業の動きや注意点も、実際の映像を見せることで具体的に共有できるからです。
たとえば、機械の操作方法を教える場合、口頭では「部品を正しい位置に取り付ける」と説明するだけになりがちです。一方、動画であれば、部品を取り付ける位置や手の動き、作業時の注意点まで確認できるため、新人も正しい手順を理解しやすくなります。
実際に、新日本工機株式会社やアサヒ飲料株式会社では、動画マニュアルを導入することで、熟練者のノウハウの共有や新人教育の効率化を実現しています。
そのため、作業者によって手順が異なる場合や、新人教育に時間がかかっている場合は、熟練者の作業を動画で記録し、誰でも同じ手順を確認できる環境を整えましょう。
(2)熟練者の経験や勘に依存している場合は「技術の数値化・言語化」
熟練者の経験や勘に依存している業務がある場合は、技術の数値化・言語化を進めましょう。なぜなら、熟練者が感覚的に判断している作業は、ほかの社員に口頭で説明するだけでは正確に伝わらない場合があるからです。
たとえば、製品の加工時に「材料の状態を見て温度を調整する」といった判断をしている場合、経験の浅い社員には適切な温度がわかりません。そこで、判断する際の温度や材料の状態、作業条件などを記録し、どのような場合に調整が必要なのかを明確にします。
実際に、中島合金株式会社では、熟練者の経験に頼っていた添加剤の投入量をAIで数値化することで、熟練者以外の社員も作業を代行できるようになりました。
このように、熟練者しか対応できない業務がある場合は、作業時の判断基準や理由を数値・文章で記録し、ほかの社員も同じ判断ができる状態を目指すことが重要です。
(3)社内の情報が分散している場合は「ナレッジの一元管理」
社内の情報が分散している場合は、ナレッジを一元管理することが重要です。なぜなら、必要な情報が複数の場所に保存されていると、社員が目的の情報を見つけられず、担当者への確認が繰り返されるからです。
たとえば、取引先ごとの製品仕様をExcel、過去のトラブル対応をメール、作業マニュアルを共有フォルダで管理している場合、確認する内容によって保存場所を行き来する必要があります。そこで、これらの情報をナレッジ管理ツールなどに集約すれば、社員が必要な情報を1か所で検索できるようになります。
実際に、古河電気工業株式会社では、社内規程や拠点ごとの対応事例を一元管理することで、情報検索にかかる時間を最大90%削減しました。また、株式会社資生堂でも専門知識を一元管理し、社員が自分で情報を確認できるようにしたことで、担当者への問い合わせが減少しています。
そのため、「過去に対応した問題なのに、担当者に聞かなければわからない」「必要な資料を探すのに時間がかかる」といった課題がある場合は、ナレッジを一元管理し、誰でも検索・活用できる仕組みを整えましょう。
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製造業でナレッジマネジメントを進める4つのステップ
製造業でナレッジマネジメントを進めるには、現場のノウハウを整理し、社員が日々の業務で活用できる仕組みを整えることが重要です。
ここでは、具体的な進め方を4つのステップで解説します。
(1)自社で共有・継承すべきナレッジを洗い出す
まずは、社内で共有すべきナレッジを洗い出しましょう。たとえば、熟練者しか知らない加工技術や、過去の設備トラブルへの対応方法、取引先ごとの注意事項などが挙げられます。
すべての情報を一度に整理するのではなく、特定の社員に依存している業務や、新人からの質問が多い業務から優先的に取り組むことが重要です。
(2)現場のノウハウを記録・整理する
次に、洗い出したナレッジを、ほかの社員も理解できる形で記録します。
たとえば、機械の操作手順は動画で撮影し、熟練者の判断基準は数値や文章で残します。また、過去の設備トラブルについては、発生原因・対処方法・結果をまとめると、同じ問題が起きた際にも活用できます。
(3)蓄積したナレッジを社内で共有する
記録したナレッジは、必要な社員がいつでも確認できる場所にまとめましょう。
たとえば、ナレッジ管理ツールを活用して、作業マニュアルや過去のトラブル対応を一元管理すれば、部署や拠点が異なる社員も必要な情報を探しやすくなります。
(4)ナレッジの更新・活用ルールを決める
最後に、ナレッジを継続的に活用するためのルールを決めましょう。
たとえば、作業手順が変更されたら担当者がマニュアルを更新し、設備トラブルが発生したら対応内容を記録するルールを設けます。また、更新担当者を決めて定期的に内容を見直し、情報が古くならないようにすることも重要です。
製造業のナレッジマネジメントを成功させる3つのポイント
製造業でナレッジマネジメントを成功させるには、ノウハウを蓄積するだけでなく、現場の社員が継続的に共有・活用できる環境を整えることが重要です。
ここでは、ナレッジマネジメントを成功させる3つのポイントをご紹介します。
(1)現場の社員が負担なくナレッジを蓄積できるようにする
ナレッジマネジメントを成功させるには、現場の社員が負担なくノウハウを蓄積できる仕組みを整えましょう。なぜなら、情報を記録する作業に手間がかかると、日々の製造業務が優先され、ナレッジの共有が後回しになりがちだからです。
たとえば、設備トラブルが発生するたびに複雑な報告書を作成するのではなく、発生原因や対処方法を簡単に記録できる仕組みを設けると、現場の負担を抑えられます。
また、新日本工機株式会社のように、定期的な会議で記録すべきノウハウや担当者を決めることも、継続的な情報の蓄積に効果的です。
(2)ナレッジの内容に合わせて共有方法を使い分ける
製造業では、情報の内容や目的に応じて共有方法を使い分けることが重要です。なぜなら、すぐに伝えるべき情報と、後から繰り返し確認する情報では、適した共有方法が異なるからです。
たとえば、当日の作業予定の変更など、リアルタイムで伝えたい情報や後から見返す必要がない情報は、チャットで共有すると便利です。一方、作業マニュアルや過去の設備トラブルへの対応方法、取引先ごとの注意事項などは、ファイルやノート形式のツールに残しておくと、必要なときに見返せます。
そのため、一時的な連絡はチャット、継続的に活用するノウハウはファイルやノート形式のツールなど、情報の性質に合わせて共有方法を選びましょう。
(3)必要なナレッジをすぐに検索・活用できる状態にする
ナレッジマネジメントでは、蓄積した情報を社員が必要なときにすぐ検索・活用できる状態にすることが重要です。なぜなら、情報を大量に蓄積しても、保存場所がわからなければ、結局は担当者に確認する必要があるからです。
たとえば、作業マニュアルや過去の不具合対応を複数のExcelファイルや共有フォルダで管理していると、必要な情報を探すのに時間がかかります。そのため、ナレッジ管理ツールなどを活用して情報を一元管理し、キーワードやAIで簡単に検索できる環境を整えましょう。
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製造業のナレッジマネジメント成功事例まとめ
これまで、製造業のナレッジマネジメント成功事例5選や、課題別に取り入れるべき方法、具体的な進め方、成功させるポイントを中心にご紹介しました。
製造業のナレッジマネジメントでは、作業手順にばらつきがある場合は動画マニュアル、熟練者の経験に依存している場合は技術の数値化・言語化など、自社の課題に合った方法を取り入れることが重要です。
ただし、現場のノウハウを記録しても、必要なときに見つけられなければ十分に活用されません。そのため、蓄積したナレッジを一元管理し、社員が簡単に検索・活用できる仕組みを整えましょう。
社内のナレッジを効率的に蓄積・活用したい方は、ぜひお役立ち資料をご活用ください。
